薬局を開設するには
薬局を開設するには、都道府県知事の許可が必要です(薬事法第4条)。
いわゆる意思の処方箋をもって医療品の販売を行う調剤薬局のことで、一般用医薬品を扱う許可(いわゆるドラッグストア)とは異なります。
薬局とは
薬局とは、薬剤師が販売又は授与の目的で調剤を行うとともに、一般用医薬品の販売または授与する場所のことをいいます(薬事法第2条第11項)。
以下の販売形態表で言う「薬局」にあたります。なお、「店舗販売業」はドラッグストア等、「配置販売業」はいわゆる置き薬等、「卸売販売業」は医療品の卸業のことを指します。
薬局 | 薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所をいいます。ただし、病院若しくは診療所又は家畜診療施設の調剤所は含みません。 |
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店舗販売業 | 店舗において一般用医薬品を販売または授与することができる販売業です。 |
配置販売業 | 一般用医薬品のうち、経年変化が起こりにくい等厚生労働大臣が定める基準に適合するものを家庭等に配置することにより販売または授与することができる医薬品の販売業です。 |
卸売販売業 | 専ら薬局開設者、医薬品販売業者、医薬品製造販売業者、医薬品製造業者、医療機関の開設者等にのみ医薬品を販売または授与することができる医薬品の販売業です。 |
薬局開設の要件
薬局を開設するには、以下の要件を備えている必要があります。
①定められた基準に適合している施設(および設備)であること
- 換気が十分であり、かつ、清潔であること
- 当該薬局以外の薬局又は店舗販売業の店舗の場所、常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されていること
- 面積は19.8㎡以上とし、薬局の業務を適切に行なうことができるものであること
- 医薬品を通常陳列し、又は交付する場所にあつては60ルクス以上、調剤台の上にあつては120ルクス以上の明るさを有すること
- 冷暗貯蔵のための設備を有すること
- かぎのかかる貯蔵設備を有すること
- 6.6㎡以上、天井及び床は板張り、コンクリートまたはこれに準ずる調剤室を有すること
- 必要な設備及び器具を備えていること
②定められた基準に適合している医薬品の調剤及び販売又は授与の業務を行う体制であること
業務体制を記載して明示する必要があります。
③管理薬剤師が配置され、取扱処方箋数に応じた薬剤師を配置すること
その薬局における1日平均取扱処方箋数が40までは1とし、それ以上40又はその端数を増すごとに1を加えた数とする(厚生省令)。
つまり1日平均40枚以上80枚までの処方箋を取り扱う場合は2名の薬剤師が配置されていることになります。
④開設者(法人の場合はその役員)が薬事法に定められた欠格事由に該当しないこと
- 過去に許可を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった後、3年を経過していない者
- 薬事法、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法その他薬事に関する法令又はこれに基づく処分に違反し、その違反行為があった日から2年を経過していない者
- 成年被後見人又は麻薬、大麻、あへん若しくは覚せい剤の中毒者
- 心身の障害により薬局開設者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
薬局開設許可申請
①薬局開設許可申請の流れ
薬局登録の許可を受けるには、必要事項等を記載した申請書と添付書類を各都道府県(政令で定めるは市は当該市)宛に提出しなければなりません。
申請の際には、規定に定める構造設備等の工事が完成した状態で行うことになります。
②申請から許可までの期間
申請から約14日間が標準処理期間ですが、補正等がある場合には更に伸びる可能性があるため、余裕を持ったスケジュールが必要です。
③新規許可申請の必要書類等
一般的に下記のような事項を記載した書面を提出することになりますが、各都道府県により違いがあるため、申請前に必ず当該都道府県の必要書類等をご確認下さい。
申請書類
- 薬局開設許可申請書
- 薬局の構造概要
- 従事する薬剤師または登録販売者
- 通常の営業時間
- 特定販売の概要
- 薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令に基づく措置等について
- 役員業務分掌表または役員組織図(申請者が法人の場合)
- 診断書(申請者が法人の場合は業務を行う役員のもの)
- 登記事項証明書(申請者が法人の場合)
- 従事する薬剤師または登録販売者との使用関係証明書(申請者自身が従事する場合は不要)
- 資格を証する書類の写し(原本を併せて持参ください)
④申請手数料
29,000円
⑤許可の有効期間
薬局開設許可の有効期間は6年間です。引き続き薬局営業を続ける場合には、6年毎に許可更新の手続きを行います。
薬局開設に伴うその他の手続き
保険薬局指定の申請
薬局開設の許可を受けた後、厚生局に対して保険薬局の指定を受ける必要があります。保険薬局の指定の際にも、許可とは別途現地調査を行います。
基本的に毎月1日付で指定が行われるため、薬局の営業を開始したいスケジュールから逆算して申請する必要があります。
労災保険指定薬局許可申請
薬局において労災保険を取り扱うためには、薬局開設許可、保険薬局指定のほか、労災保険指定薬局の指定を受ける必要があります。
労災保険指定薬局の指定申請は、各労働局に対して行います。
その他の申請、届出等
その他、取り扱う薬品等の種類や行いたい事業により、以下の様な届出等が必要な場合があります。
- 毒物劇物取扱責任者設置届
- 毒物劇物一般販売業登録申請
- 麻薬小売業者免許申請
- 薬局製剤製造販売業・製造業許可申請
- 高度管理医療機器販売業・賃貸業許可申請
- 医療用具販売業届出 など
許可後の諸手続き
許可後の変更事項の届出
薬局開設の許可後に、以下の事項に変更があった場合、30日以内に変更届を提出しなければなりません。
- 開設者の氏名又は住所(開設者が変わる場合は、新たに許可申請が必要)
- 管理薬剤師
- 管理薬剤師の氏名又は住所
- 管理薬剤師以外の薬剤師又は登録販売者
- 管理薬剤師以外の薬剤師又は登録販売者の氏名
- 薬剤師又は登録販売者の週当たりの勤務時間数
- 法人の場合、業務を行う役員
- 構造設備の主要部分
- 兼営事業の種類
- 通常の営業日及び営業時間
新規許可後の変更届を怠ると、スムーズに更新許可申請が行えない場合があるので、許可後の変更事項についてはその都度変更届を提出するようお気をつけ下さい。
薬剤師さんに役立つ 薬事関連 期限一覧表
関連法律 | 項目名 | 有効期間など |
麻薬及び向精神薬取締法 | 麻薬の譲渡証、譲受証 | 2年 |
麻薬及び向精神薬取締法 | 麻薬帳簿 | |
覚せい剤取締法 | 覚せい剤(原料)の譲渡証、譲受証 | |
薬事法 | 毒薬、劇薬の譲受書 | |
麻薬及び向精神薬取締法 | 向精神薬の廃棄記録 | |
麻薬及び向精神薬取締法 | 向精神薬の購入伝票 | |
薬事法 | 処方箋医薬品の販売・授与記録(最終記載から) | |
薬事法施行規則 | 薬局医薬品・要指導医薬品・第一類医薬品販売時作成書面 | |
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 (第90条の2) | 居宅療養管理指導の際の サービス内容の記録、市長村への通知に係る記録、苦情内容の記録、事故に関する記録 | |
薬事法施行規則 | 医薬品の管理帳簿(最終記載から) | 3年 |
薬剤師法 | 調剤済み処方箋(麻薬含む)※1 | |
薬剤師法 | 調剤録※1 | |
調剤報酬点数表に関する事項 | 薬歴※1、※2 | |
薬事法施行規則 | 医薬品の譲渡、譲受帳簿(伝票) 医療機器の譲渡、譲受記録(高度管理医療機器のみ。特定保守管理医療機器は15年、管理医療機器・一般医療機器は努力義務) | |
麻薬及び向精神薬取締法施行規則の一部を改正する省令 | 麻薬小売業者間譲渡許可書 | |
毒物・劇物取締法 | 毒物の譲渡書、譲受書 | 5年 |
薬事法 | 医薬品製造業、輸入販売業の許可 | |
指定医療機関医療担当規程 (第8条) | 生保調剤券の保存 | |
薬事法 | 薬局開設の許可 | 6年 |
健康保険法 | 保険薬局の指定 | |
薬事法 | 高度管理医療機器の許可 | |
薬事法施行規則 | 高度管理医療機器等の帳簿 | |
薬事法 | 再生医療等製品の販売業の許可 | |
障害者自立支援法 | 障害者自立支援の指定 | |
生活保護法 | 生活保護法の指定 | |
難病法 | 特定疾患医療機関の指定 | |
児童福祉法 | 小児慢性特定疾病医療機関の指定 | |
薬事法施行令 | 薬局製造販売医薬品の製造販売許可 | |
各法律 | 母子保健、生活保護、労災 | 自動更新 |
薬事法施行令 | 薬剤師名簿の変更 | 30日以内 |
薬事法 | 薬局の管理者その他の変更 | 30日以内 |
健康保険法施行規則 | 被保険者の氏名変更 | 速やかに |
健康保険法施行規則 | 被扶養者の届出 | 5日以内 |
法人税法施行規則 (第8条の3の10) (第59条) | 領収書・伝票・棚卸表・出納帳等の保存期間 | 確定申告書の提出期限から7年 |
商法(第19条) 会社法(第432条) | 商業帳簿及びその営業に関する重要な資料を保存 | 10年 |