はじめに

ブラジル人の帰化手続きについて解説していきます。

現在ブラジル人で、日本に帰化したい、日本人になりたいと思っている方向けに、ブラジルの方がどのような手続きを踏めば日本人に帰化できるのか、そのための申請手続きの流れや注意点を解説します。

ブラジルの国籍取得の法的根拠はブラジル憲法ですが、日本も憲法第10条 「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。 」とし、この憲法第10条の委任を受けた法律が日本国の「国籍法」になるのです。

ブラジル人の帰化手続きで重要な点は、
・ブラジルの各事項証明の取得
・国籍証明の取得
・本国の翻訳
の3点です。
それでは次に、手続きの流れについて解説します。

ブラジル人の日本への帰化申請の実態

現在日本に在留しているブラジル人は約210,000人(令和2年末現在)おり日本に在留する外国人の構成比率で言うと全体の7.2%になります。

そして、帰化に関する令和2年度のデータでは、ブラジル人の帰化者数は409人と、全体の帰化許可者数の4.5%になります。

それでは次に、手続きの流れの中で必要な書類について解説します。

ブラジル人が帰化するための必要書類

現在ブラジル人で、日本に帰化したい、日本人になりたいと思っている方向けに、このページではブラジルの方がどのような手続きを踏めば日本人に帰化できるのか、そのための申請手続きの流れや注意点を解説します。

ブラジル人の帰化の手続き

ブラジル人の帰化手続きで重要な点は、

・ブラジルの登記事項の取得

出生証明

・本人
・兄弟姉妹
・子供

結婚証明

・父母
・本人

離婚証明

・父母
・本人

死亡証明

・父母兄弟姉妹(子供)
・国籍証明の取得

の5点(離婚・死亡がある場合。)です。

1. 帰化許可申請書
2. 親族の概要を記載した書類
3. 帰化の動機書
4. 履歴書
5. 生計の概要を記載した書類
6. 事業の概要を記載した書類
7. 住民票の写し
8. 国籍を証明する書類
9. 親族関係を証明する書類
10. 納税を証明する書類
11. 収入を証明する書類
12. 在留歴を証する書類
■在勤及び給与証明書
■源泉徴収票
■(各種)課税証明書・納税証明書・確定申告書控え等
■国民年金の「年金定期便」や「年金保険料領収書」の写し等

【資産関係】
■不動産登記簿謄本
■預貯金現在高証明書又は預貯金通帳のコピー

【事業関係】
■許認可証明書(事業免許等)
■商業・法人登記簿謄本

(1)その他の提出資料
【履歴書(その1・その2)の記載内容を立証する資料】
■最終卒業証明書又は卒業証書 ■技能・資格・免許等に関する証明書
■自動車運転免許証の写し
■運転記録証明書
■スナップ写真
■パスポート・再入国許可書のコピー

(2)住所を証明する書面
■住民票

(3)収入・資産・事業に関する各種証明
【収入関係】
帰化するために必要な書類の詳細は、複雑で量も多くケースバイケースです。

上記の他、運転免許証や運転記録証明書等も必要となる場合があります。

ブラジル人が帰化するときの注意点(素行要件)

素行要件については、国籍法第5条第1項3号に規定されています。

素行要件についての「意義」は、素行善良(即ち法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難される事のない生活を営んでいる事を意味します。)端的にいうと真面目な人間か?という事になります。

したがって、素行が善良であるかどうかは、犯罪歴の有無や態度、有罪判決を受けた者や執行猶予中の者は一定期間申請ができない事になります。

そして、納税の義務や年金加入の義務を果たしているかどうか等の状況や一般社会への迷惑行為等の有無を総合考慮して通常人を基準として、社会通念によって判断されることになります。

犯罪歴は必ず調査される事が原則です。

したがって、申請時点で犯罪について虚偽申告や隠匿申請その他帰化の要件を満たさない事情がある場合には必ず不許可になります。

特に税務関係(個人の場合源泉徴収、課税・納税証明など)の提出書類は多岐に渡り量も多いことから適正な処理(2つ以上の収入がある場合必ず確定申告しているかなど。)がされているかは特に重視されます。

納税状況も同一世帯全員の納税証明を提出しなければいけません。

納税義務があるのに1人でも未納税がいれば申請は受付されません。

即ち家族は同一生計であるので、家族の内1人でも未納者がいれば「脱税者」家族となるからです。

加えて年金についても厳しく審査されますので未納期間があった場合や、同一生計者の中に未納者がいる場合には申請前に是正する事が重要です。

素行要件チェックリスト

下記のリストは当所が長い間帰化にかかわった中で実際に素行要件に該当した実例です。

この素行要件の中で特に多いのが、入管法違反と交通違反です。

入管法違反については、事件からの経過年数・経緯など様々な観点からいつの時期だったら申請ができるかなど当所にご相談ください。

次に交通違反については、日本に長期在留すればする程又、通勤や運転を職業とする方は違反の頻度も高くなり回数も増える事は必然です。

違反や事故の回数、程度により具体的取り扱いが異なりますので当所にご相談下さい。

ブラジル人が帰化するときの注意点(国籍喪失)

ブラジル人が帰化する際に本国書類に注意する点としては、繰り返しになりますが以下のことが挙げられます。
・ブラジル各事項証明の取得
・国籍証明の取得
・翻訳文の添付
*翻訳文については、全て日本語訳にしてアルファベット表記の部分全てを翻訳する。
つまり人名・出身地名についても必ずカタカナ或いはひらがな表記にしないと申請が受けつかられない場合があるので注意が必要です。